恋する淑女は、会議室で夢を見る

「・・・・ということで
 プロジェクトチームが組まれることになってね
 若い社員の意見も積極的に取り入れようということになって、入社間もない君たちに参加してもらうことになった」


「はい」

桐谷グループの代表の息子、桐谷遥人(きりたに はると)が取締役としてNYから帰ってくる。

プロジェクトチームの責任者は小林部長だが、会議にはその桐谷遥人も参加するという。


「自分をアピールするいい機会だ、がんばれよ
 まあ お前の場合はまず失敗しないようにな」

入社以来 あらゆるミスをしてきた真優としては耳が痛い。
課長に軽く睨まれて、パチパチと眩しそうに瞬きをして誤魔化した。

「はーい」


クスクス


「青木、イケメン御曹司だぞ
 張り切って ゲットしてこい と、言いたいとこだが」

「ここ」、と言って 課長は自分の眉間に指をあてた。

「皺が寄ってるぞ」

「!
 あはは」

「イケメン御曹司と聞いて 眉間に皺を寄せるようじゃ玉の輿は遠いな」


クスクス

「玉の輿より
 私は、目指せバリバリのキャリアウーマンですからっ!」

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