恋する淑女は、会議室で夢を見る



*...*...*...*...*






何事もなく
真優の秘書生活は数日が過ぎて行った。



「おはようございます」

「おはよう」




・・・





朝の大事な仕事の1つ、
桐谷専務の珈琲を淹れること。


桐谷専務の出勤は、
他の役員たちより一足早い。

そのお陰で給湯室を独占できることはラッキーだった。


慎重に珈琲の量を計り
水平にして、フィルターにお湯をかけないように気をつけながら珈琲を蒸らし…


―― ふむ


しばし待つ…。


クルクルとのの字を書く様にして…。

はい 出来上がり。




「青木さんは」



「珈琲を淹れるのがお上手ですね」


給湯室には扉がないこともあり、
いつの間にかそこに瀬波がいることに
真優は気づかなかった。
< 93 / 210 >

この作品をシェア

pagetop