笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~

  まるでデートみたいに

愛美先輩の結婚式から3日がたった火曜日。
私はいつものようにオフィスで仕事をしている。
高校のサッカー部のユニホームのデザインの依頼を受け、その高校のホームページを見ていた。

すると、
「ねぇ陽泉ちゃん。今夜ヒマ?」と、3年先輩の山崎さんから声をかけられた。

「えっ…?」
「ヒマなら、一緒にご飯行かない?」
「えっと…」
困っていると、佐々木くんが来て、
「山崎さん。陽泉は今日、俺と約束があるからダメです。
今日だけじゃなく、ずっとダメですよ!」
そう言って助けてくれた。
もちろんその日、佐々木くんと約束なんてなかったのだけど…

それでも定時を30分ほど過ぎて仕事が終わり、帰り支度をしている私に、
「陽泉、終わった?
じゃあ行こうか」
と、佐々木くんが声をかけて来て、そのまま一緒にオフィスを出た。

「さて…と。
夕飯には、まだ少し早いから、駅前の七夕飾りでも眺めるか」
佐々木くんはそう言って、駅の方向に歩く。
私はそのあとを追いかけながら声をかける。
「あの…、佐々木くん。
今日、何も約束してなかったよね?」
「そうだな、約束はしてないな。
陽泉は何か予定があるのか?」
「いや…、ない…けど」
「じゃあ、いいだろう。
駅前のアーケードを歩いて、ご飯食べて帰ろう」
「…うん」


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