笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
稜くんのことを、異性として意識しているように見えた。
見た目も、美男美女の2人はお似合いである。
今日のように正装をしていると、それが良く分かる。

田村さんの友人たちが、陽泉に声をかけようとして、彼女の隣にいる稜くんを見て、諦めて自分の席に戻る姿が何度あったか…。
その逆で、稜くんに声をかけようとして、彼の出す"話しかけるな"オーラ、または陽泉を見つめるまなざしに、何も出来ない女子もいた。

稜くんの笑顔、陽泉の笑顔が見れて、2人を招待して本当に良かった。

式も無事に終わり、招待客を見送り、親族に挨拶をして着替えた。
田村さんと私は式を挙げたホテルに宿泊するが、それぞれの両親は自宅へ帰る。それを見送るためにロビーに行くと、陽泉と稜くんがいた。
数人の同年代の人たちと一緒で、その中の1人は陽泉と同級生の吉田祐介くん。…陽泉と付き合っていた人だ。

陽泉·稜くん·吉田くん。
3人の間に不穏な空気が流れているのは気のせいではない。隣にいる田村さんも、同じく感じているみたいだから。

陽泉が吉田くんに何かを言い、そのまま稜くん·郁海くんと一緒にホテルを出て行く。
一切、吉田くんの方を振り返らずに…

私はその後ろ姿を見送りながら、陽泉と稜くんが一緒に幸せになることを願うだけだった…





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