笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~

  祐介の想い



ふと目が覚めて周りを見渡すと、見慣れない部屋に不安が広がる。
見知らぬベットの上。
いつの間にか、パジャマに着替えている私。
昨夜、何があったのか思い出してみる。

…考えはじめた途端、酷い頭痛が襲う。

『陽泉ちゃんなんて、バスケだけじゃない』
『ちょっとかわいいと思って、本当に図々しい』
『陽泉と一緒にいるのは、カッコイイ男子と話が出来るから。ただそれだけ。友達なんかじゃないから』

学生のころに言われて傷ついた言葉が、なぜか今、頭の中でリフレインする。

「…イヤッ!」
私は耳を塞ぎ、身体を縮こませ、ありったけの力で叫んだ。
すると、バッとドアが開き、
「ヒナ、どうした?大丈夫か?」
と、祐介が部屋に入ってきて、私をキツク抱きしめた。

「うっ…、祐介。ヤダ、怖い…」
私は泣きながら彼にしがみつく。
祐介は、そんな私をあやすように、髪を撫でながら、耳元で
「大丈夫だよ」
「俺がついているから」
「ずっとそばにいるよ」
と繰り返してくれた。
おかげで、しばらくすると落ち着いて、自然と涙も止まった。

「…祐介、ありがとう。迷惑かけて、ごめんなさい」
私が謝ると、
「いや…。謝るのは、俺の方なんだよ。
…とりあえずヒナ、シャワー浴びてきたら?
話はそれから」
祐介にそう言われて、私は素直にシャワーを借りることにした。

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