笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「さぁて陽泉、話を聞こうか。
遠慮しないで、なんでも言ってね」
食事が終わると、アイスティーのグラスをテーブルに置きながら紗英ちゃんが言う。

「うん、分かった」
私はそう頷くと、アイスティーを一口飲んでから話しはじめた。

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

気付いたのは、小学校の高学年のころ。
私には『友達』と呼べる人がいない。

学校やクラスで、いじめられていたり、1人ぼっちと言うことではなく、いつも行動を共にしていたのは、クラスの女子のリーダー的なグループ。
私から声をかけたわけじゃなく、声をかけられ、いつの間にか一緒にいる。そんな感じだ。
私はグループに馴染もうとするが、うまくいかない。
そうして結局、その子たちに言われる言葉が、

『陽泉ちゃんなんて、バスケだけじゃない』
『ちょっとかわいいと思って、本当に図々しい』
『陽泉と一緒にいるのは、カッコイイ男子と話が出来るから。ただそれだけ。友達なんかじゃないから』

中学でも、高校でも、それは続いた。
そんな中、やっと私が信頼できる女性が現れた。
それが愛美先輩だ。
愛美先輩がいたから、高校のバスケは楽しかったし、人と人との信頼関係を教えてもらった。
私にとっての愛美先輩は、そんな大切な存在だ。


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