笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「あとね、付き合ってたと言っても、私と稜くん、何もないからね」
「えっ…?」
「…手も繋いだこともなければ、キスもしたことないんだよ。
そういうことは、本当に好きな相手としかしないんだって」
「……………」
「だから、安心してね」
「……………」
「あと、決勝戦はライバルだから。お互い、頑張ろうね!」
「…うん!」
「私の話は終わりです。
付き合ってくれてありがとね」
梢ちゃんはそう言うと、背中を向けて歩いて行った。
言うべきことを全て言い切ったのだろう。最後はスッキリした顔をしていた。

私はすぐにチームの元へ戻った。
佐々木くんとの恋愛の前に、大事な拓海たちの決勝戦だ!佐々木くんは、その相手チームのコーチなのだ。
まずは、大切な次の試合に勝つことを考えよう!

私が戻ると、それぞれにストレッチなどを始めていた。
しばらくするとベンチの準備に入る。ベンチ作りが終わると全員を集めて試合前のミーティングが始まった。まずは麻生先生がゆっくりと話し始まる。
「みんな、お疲れ様」
「「お疲れ様です!」」
「いよいよ、3年生にとっての最後の公式戦になりました。昨年も言いましたが、この舞台に立てるのは、陽泉コーチの指導と、みんなの努力のおかげです。
悔いのないよう、精一杯頑張ってきてください」
「「はい!」」

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