笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「なぁヒナ」
しばらくの沈黙のあと、私は裕介に抱きしめられた。

「ヒナの気持ちを確認しないで、勝手にキスしてごめん。
それは謝るよ。
でもさ。確認だけど。
ヒナは俺のことが好きなんだよな?さっき、そう言ったよな?」
私を腕の中から離して、真っ直ぐ見つめながら聞いてくる。

視線を逸らそうとすると
「大事なことだから、ちゃんと俺を見て答えて」と、
視線を合わせてくる。

根負けした私は、
「うん。好き…だよ」
と、頷くのが精一杯。

「じゃあ、俺と付き合って!」
真剣なその瞳に、

「…うん」
気付けばそう答えていた。

「…良かった。
俺も、ヒナのことが大好きだよ」
裕介は私を抱きしめながら、耳元で囁いた。

そして…

「だからキスしたい。
いい?」
甘く問われて、小さく頷く。

彼の指が私の顎を持ち上げ、そっと瞳を閉じると、ゆっくり彼の唇が重なる。

啄むようなキスが続いて、その甘さに浸っていると、
「ごめん。
これ以上はヤバイ…」
と、身体を離された。

「ヒナ、送って行くよ。
これ以上は、俺の理性が持ちそうにない!」

意味を理解した私は、裕介のそばを離れた。

「ヒナが良いって言うまで、キス以上はしないよ。たぶん…な」

裕介は笑いながら、ちゃんと私を家まで送ってくれた。


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