笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~

  同期会の夜

裕介とちゃんと付き合うようになってからも、私と裕介の距離は変わらない。

会うのは、週に多くても2回。
電話やメールも、本当に用事があるときだけ。
私が社会人になったのに対して、裕介はまだ学生と言うこともあるのかも知れない。
私は彼の仲間との付き合いを尊重してあげたかったし、彼も、社会人になったばかりの私の会社でも付き合いを優先してくれた。
付き合ってすぐの、私たちの歓迎会のときは迎えに来てくれて、"本当に付き合っているんだな"と実感できて嬉しかった。

でも、ちゃんと恋人同士になったのだから、もう少しわがままになっても良かったのかも知れない。
もっと会いたい気持ちや、そばにいたい気持ちをぶつければ良かったのかも知れない。
そして…、
もっと触れ合えば良かったのかも知れない。
"初めてだから"と怖がらないで、彼を信じれば良かったのかも知れない。

そうすれば…
裕介は浮気をしなかったのだろうか?
私の代わりに、ほかの女の子を抱くことはなかったのだろうか?

私の初めての恋は、彼氏の浮気で終わると言う、漫画や小説によくありがちな展開。
そして、
そこから次の恋が始まるのも、セオリー通りだったと思う。

すべては5月中旬。
紗英ちゃんが、「来月の営業会議のあと、同期会をやろうよ!」
と、提案したことがきっかけだった。




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