笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~

  彼女との再会~稜Side~

俺·佐々木稜が、彼女―小野陽泉―に初めて会ったのは、俺が小6で陽泉が小3のとき。
彼女が俺の近所に住む片桐梢と一緒に、俺のミニバスの試合を見に来たときだった。

それから梢と一緒に女子部に入団した彼女。
俺が卒業するまでの1年弱、たまに練習を見ていたが、そのセンスと上達ぶりは他の女の子の比ではなかった。コーチたちも陽泉のバスケに一目(イチモク)を置いているのが分かった。
そして、たぶん俺は、陽泉のバスケに一目惚れしたんだと思う。
そして、それが俺にとっての初恋。
彼女が、彼女のバスケが、気になって仕方ないなかった。
…そう。
俺の初恋の相手は、陽泉なんだ…

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

陽泉が6年生のとき、俺は高校1年になっていた。
まだ陽泉のことが気になる俺は、ミニバスの大会毎に、彼女のプレーを見に行った。
初めて陽泉のプレーを見てから4年がたち、その技術は、格段に上がっていた。
ボールキープはもちろん、1対1の強さ、強気なパス、正確なシュート、的確な状況判断…どれをとっても"スゴイ"の一言に尽きた。
彼女に2人以上のマークがつけば、すぐにフリーの人を見つけてパスをして…陽泉ががっちりマークされても、他の4人で展開が出来て…
チームとしても完璧だった。

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