笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
そうして春の新人戦と、夏の県大会で優勝。
全国大会がかかった冬の県大会でも、圧倒的な強さを見せて優勝。
3月に行われるミニバスの全国大会にも、陽泉のプレーが見たくて、東京·代々木体育館まで見に行った。
全国の強豪チーム相手にも、普段通りのプレーを見せていた。

彼女が中学·高校と進んでも、俺は時間があると彼女の試合を見に行った。
なんかこう言ってると、俺は陽泉のストーカーみたいだが。

そんなことで、俺は一方的に陽泉のことを知っていたので、プロの前座のミニバスの審判をしたあと、陽泉本人に会えたことに驚いた。
その数日後には、"四つ葉スポーツ"の入社式で2度目の再会をした。
そして気付く。
俺の初恋は継続中だと。

俺だってモテないわけじゃない。
顔はたぶん、"イケメン"と言われる部類に入るし、バスケでも県選抜に選ばれるくらいの実力はある。
入社式で代表挨拶をするくらいだから、そこそこの大学を卒業している。
もちろん、付き合ったこともあるし、当時の彼女と、それなりの経験もしている。
それでも…

それでも、陽泉に対する思いは、その頃の彼女たちの比にならない。

陽泉と、付き合いたいと言う気持ちはない。
陽泉の幸せを願っている。
俺は、陽泉のバスケをしている真剣な姿と、その笑顔が好きだから。

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