さくら


志信がカットに行って来ると出ていった後、桜子は家計簿を出してきた。

「またあの人来るんかいな」
ウメがふんっと鼻を鳴らす。

桜子が困ったように微笑む。

「赤の他人がお金を預かってるんやもん。当たり前だから」

「赤の他人って桜ちゃんはこの家の娘みたいなもんやない」

「ありがとね、ウメさん」

「桜ちゃん、お人好しもいい加減にしとかんと。院長先生はアンタをこの家から嫁に出すつもりにしてはるんやで。藤子さんの世話も院長の世話も実の子以上に頑張ってるのに赤の他人やなんてヨソの人に言われる筋合い全くないで」

ーーーーーーーウメさん、わたしが院長先生や藤子お母さんからしてもらったことを考えたら、こんなこと何でもないんだよ・・・・・桜子のそんな想いを知っているウメにはそれ以上のことは言えない。
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