さくら
志信の傍若無人な舌が桜子の中から抜かれる頃には、桜子は立っているのもやっとだった。
壁に背をつけたままズルズルと崩れ落ちていく桜子の身体を志信がしっかりと抱きしめる。
「・・・・・しーちゃ・・・・・ん?」
「お前はオレのもんや!誰にもやらへん!」
桜子が身体を固くする。
志信のシャツの胸元が少しずつ濡れていく。もう一度桜子の両頬を持って上を向かせる。
何も言わず、志信のなすがままになっている桜子の瞳からとめどなく溢れる涙の意味を志信が推し量る。
「しーちゃ・・・・・」
桜子が口を開きかけたときに、ピーッと何回聞いても耳慣れない音に2人の身体が弾かれたように動いた。
2人の間に起きたことは後回しに、すぐに駆け出した。