こんなお葬式【長篇】
部長の問に、申し訳なさそうにおばあさんは答える。

─すいません、私一人なんですよぉ……。本当に私何もわからんので、ご迷惑おかけします……。

─いえいえ、それでは準備させて頂いてよろしいですか?

相変わらず素っ気がない。
部長の仕事のスタイルは『淡々と』。
常に自分のペースなのだ。

─お願いします……あっ、看護婦さんに挨拶しな。

─あぁ、車に乗る時には一緒に来ますからその時で大丈夫ですよ。

おばあさんは、何かに追い立てられているかのように慌ていた。

たった一人、何もわからない不安が気持ちを慌てさせているのだろう。

他の者へ気を使いすぎて、悲しみすら隅に追いやられている……。

そんな様子だった。


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