こんなお葬式【長篇】
おばあさんは安置部屋に戻った後、一つ一つ袋から取り出しながら僕に説明した。

紙袋の中身は、全て遺品……。
棺の中へ納める為に取りに戻ったのだ。

僕は考えもしなかった。

大事にしていた物。
好きだった物。

おばあさんの口調は、そんな言い回しではない。

あたかも、小学生の遠足の準備でもしている母親のように……。

目が悪いから。
煙草が切れると怒るから。
寒いと困るから。
よく汗をかくから。
お洒落な人だったから。
退屈だと可哀想だから。

─あれもこれも必要やと思っちゃって、沢山になっちゃいました。

おばあさん自身が子供の様な顔で笑い、言い訳でもする様に僕にそう言った。

髪の毛を濡らしながら……。


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