リナリアの王女
 目が覚めるとそこは見知らぬ部屋だった。
私は天蓋付きの大きなベッドに寝ていた。
部屋を見渡すと異国の雰囲気漂う家具に囲まれていて、この部屋から察するにこのお屋敷自体かなり大きいという事が分かる。
まだ夢の続きなのだろうか。
ここ最近見続けている私を呼ぶ夢でも、先ほどまで見ていたはずの水晶の夢でもなく、初めて見る夢だった。
そしてこの夢は妙にリアルな感じがする。
夢ではなく現実のような、私の居場所はここだったかのような、そんな感じさえする。
そこに扉を叩く音が静かに部屋の中に響いた。



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