リナリアの王女
 『クラウド様はエリーゼ様には絶対言うなと仰っていたのですが、エリーゼ様のご様子を逐一報告し、何か生活をする上で支障をきたすような事があれば良いように計らってくれと最初の頃に私に命じられたのですよ』
「そうだったの・・・」

確かにこの世界に来て退屈だと感じる事は多少はあるが、私がする事に対してクラウドは咎める事はなく、生活が不自由だと感じた事はなかった。


私に甘過ぎるような気もするが・・・。


改めてクラウドに感謝の気持ちが募った。

今でも寂しくないなんて言ったら嘘になる。
だけど少しずつでも前を向いて、ここの世界に馴染んでいこうと思えるのはクラウドのおかげだ。


なんとなくクラウドに会いたくなって、今日はお菓子の差し入れという口実はないが、紅茶を入れてあげようかと思った。


そう思ったら行動あるのみ。
私は残る紅茶を飲みほし、席を立った。

「サラちゃん、私クラウドに紅茶を差し入れに行くわ」

サラちゃんも紅茶を飲み終わっていたので、立ち上がり、
『ではこちらは私が片付けておきますので。エリーゼ様はクラウド様の所へ行って下さい』
「ごめんね。じゃあ行ってきます!」

私は少し早足で、いや実際はちょっと走っていたかもしれないが、クラウドの元へと向かった。

彼はまたあの子供のようなキラキラした瞳を見せてくれるだろうか。
それともこの前は見る事が出来なかった、仕事中の真剣な顔を見る事が出来るだろうか。
そんな事に想いを馳せながら。




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