ケータイうさぎと意地悪先輩。FINAL
私は携帯を右手に持ち、文字を打って瀬名君に画面を見せる。
『かってなこと いわないで』
瀬名君が驚いた表情で私を見ると、また文字を打ち、携帯の画面を見せつける。
『せんぱいはめざめる わたしは せんぱいのお嫁さんになるの』
私は左手で携帯を閉じると、携帯を握り締めて拳を作り、持ち上げ、どん、と瀬名君の胸を叩く。
何度も何度も。
携帯を握り締めたまま叩いているから、きっと痛いに違いないのに。
瀬名君は何も言わずにただ私に胸を叩かれている。
叩いたところで、先輩が目覚める訳じゃない。
でも、必死に抵抗した。
そんな私を瀬名君はぎゅっと抱き締めた。
私は拳を瀬名君の胸に押し付けたまま、前から押す。
瀬名君は私を抱き締める力を強める。
私の目からぽろっ、と涙が零れ落ちた。
瀬名君はもう何も言わなかった。
静かな病室に、雨の音だけがただ響いていた。