寂しがりヒーロー

カモちゃんを騙していいのは僕だけです。

その日は、僕らが集められることはなかった。


「珍しいですよね、集められないなんて」

「確かにね。いつものように集められてたから、なんか違和感ある...」


玲とそんな会話をしながら、僕らは校門を出ようとした...その時。


「伊月さん!」


そう、背後から呼ばれた。

そこには、息を切らしたふー。


「ふー?どうかしたの?」

「カ、カモさんが...」

「...カモちゃん?」


嫌な予感がする。

カモちゃんの身に、何かあったの...?


「...カモさんが...拉致られたらしいです」


...拉致られた...?
...拉致!?


「ど、どういうこと!?」


僕はふーの胸倉を掴む勢いで問い掛けた。


「...カモさん、千章高校の連中に騙されたらしくて...カモさんが囮にされてて...伊月さんを、千章高校の体育館に連れてこい、と電話がありました」

「...さすがカモちゃん。...アダ名にピッタリだね。...ほんっと、ムカつく...。カモちゃんを騙すなんて」



僕は全速力で駆け出した。


「伊月さん!?」と困惑の色を浮かべた表情をしている2人を置いて。
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