初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
 
盃にした手のひらの中にテンポよくぽんぽんと放り込まれた卓球のピンポン球サイズのキーホルダーふたつをチュッとさせながら、興奮気味にわたしは言う。

ひとつはピンク色、もうひとつは白のそれは、ふたつともとても愛くるしい顔をしていて、会ったことはないけれど、作者さんの性格がそのまま作品に出ているようだ。


さっそく今から通学鞄に付けよう。

いつもの定位置の長机の上に座った脇に置いていた鞄を膝の上に乗せ、さっそく付けはじめる。

ネックレスなどのアクセサリー系は校則で禁止されているので、残念ながらあのペンダントトップは学校に付けてくることはできないけれど、キーホルダーなら、べつに校則違反でもなんでもない。

百井くんからもらったものを(作者さんはべつの方だけれど)、これでようやく堂々と身に着けられるようになって、心のほくほく度はさっきの3割増しだ。


「ニナってマジで桃好きな」


そうして鞄に付け終わったキーホルダーを再びちゅっとさせていると、呆れたような、感心したような口調で百井くんが口を開いた。

表情は見るからに呆れの度合いが多いけれど、わたしがとても気に入っているのを見て百井くん自身もうれしいのか、目元が柔らかに細められている。
 
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