初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
 
「……でも、百井くんにとっても、せっかくの学祭なんだよ? クラスに溶け込むいいチャンスなのに、ちょっとくらい手助けしちゃダメなの……?」


百井くんはいつも平然とクラス内の自分の立ち位置的なものを受け入れているように見えるから、亜湖にはもしかしたら、普段からそれほど傷ついているようには見えていないのかもしれない。

だけど、百井くんは、本当はいつも寂しいんじゃないのかな。

仕方ないって思っていても、いつだって本心ではクラスに馴染むことを諦められないんじゃないのかな。


どんなに平気そうに見えていたって、心の中までは覗けない。

だから、想像するしかない。

でも、もしわたしが百井くんのような立場にいたら、誰か助けてくれって普通に思うし、助けてもらったら泣くほど嬉しい。

そういうのって、男女で気持ちに差があるものなの?


「仁菜の気持ちはわかるよ。百井が本当は不良でもなんでもない、ただの普通の男子だって知ってる仁菜なら、なおさらどうにかしてやりたいって思うだろうなとも思う。でも、どんな理由があったにせよ、前にケンカばっかりしてた時期があったことは事実で、今さら変わらないし、絶対に変えられない。今の百井がどんなにいいヤツでも、それはこの先もずっと付いて回るんだよ」
 
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