初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
 
それだけあれば、今はいい。

今まで守ってもらったぶん、今度はわたしが百井くんを守ればいいだけだ。

あとのことは、あとのこと。

今はただ、目の前の百井くんに、〝好き〟って気持ちだけでこんなにも突っ走れるものなんだってところを、ちゃんと証明したい。


「じゃあ!」と景気よく言って、百井くんに背を向ける。

いろいろと予定が狂ってしまったけれど、そんなの、今さらだ。

なぜか掃除用具入れの上からスケッチブックが降ってきたときから、もうわたしの学校生活は百井くんによって予想外の方向にたくさん変化した。

楽しいことも、嬉しいことも、つらいことも、苦しいことも、また写真を始めようと思えたことも、あのとき百井くんと関わらなかったら絶対に感じることのできなかった気持ちだって、今なら胸を張って断言できる。


わたしは百井くんが好きだ。

その想いはもう、こんなにも揺るぎない。


「……待て! ニナ、ちょっと落ち着けって」


すると、背中から声がかかった。

相変わらず焦った様子の百井くんの声は、やけくそな告白をされた挙句、クラスの男子に文句を言いに行こうとされて、ますます戸惑いの色を濃くしていた。
 
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