初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
そんなに好きなら、クラスに馴染みたいなら、どんなにみっともなくても奪いに行ってよ、避けられても何度も話しかけに行ってよ、わたしを振っていってよ、百井くんの本気を見せてみてよって。
そんな気持ちが爆発的に体の中から湧きあがった。
そしてなにより、今まで相手の気持ちを尊重していたようで、実は自分のことしか考えていなかったわたし自身の愚かさに、いちばんいちばん、腹が立った。
「ちょっと今から行ってくる!」
「は、えっ……!?」
「大工係の男子のとこ。百井くんをのけ者にしようだなんて、そんなのわたしが許さない!」
だからもう、百井くんにも亜湖にも悪いけど、ここからはわたしの勝手にさせてもらう。
言いたいことを全部言って、クラスの中にまん延する嫌な空気を入れ替えて、そしてちゃんと〝わたしたちのクラス〟で学祭をやるんだ。
大工係の男子やクラスのみんなは、いきなり百井くんを擁護しはじめたわたしに、おそらくは風当たりをきつくするだろう。
もしかしたら百井くんも、とばっちりを食ってますます敬遠されることになるかもしれない。
でも亜湖なら、そんなわたしを、もう仁菜は仕方がないなって言って、笑って許してくれる気がする。