初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
「みんな、すっごい楽しみにしてたんだよー。仁菜ちゃんにカメラを向けられるとやる気が出るみたいで、いつの間にかこんなに凝った縁日になっちゃったんだけど、みんな本当にいい顔してたんだよ。仁菜ちゃんが写真部でほんっとよかったわ。ぶっちゃけちゃうと、家も写真館だから代金も格安で予算の面でも助かっちゃったしね」
そう言って茶目っ気たっぷりにウィンクする委員長に、わたしもたまらず「あははっ」と声に出して笑う。
今のみんなの様子で、わたしもちゃんとクラスの一員として参加していたんだって実感できて嬉しい。
隣では亜湖が『ほーら、あたしの言ったとおりだったでしょ?』と言いたげな視線を送っていて、委員長が「じゃあ、あたしも貼ってくる!」と張り切ってわたしたちの前から離れていくと、亜湖とふたり、目を見合わせてクスクス笑い合った。
「それじゃあ、あたしたちも貼りますか!」
「うん!」
そうしてわたしたちは、嬉し恥ずかしの写真貼りという最後の仕上げに加わるため、すっかり縁日仕様に様変わりした教室の中に笑って駆け出していった。
*
けれど、前夜祭の真っ最中に、それは起こった。