初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
 
前夜祭の今日は、百井くんからこの前の答えを聞く日でもあったわたしは、体育館のほうから漏れ聞こえてくる有志で組んだバンドのちょっぴり下手くそな歌や演奏を聞きながら、教室で彼のことを待っていた。

日中は最後の追い込みに忙しくしていたおかげで気が紛れていたけれど、時間が経つにつれて緊張感がどんどん増していき、正直なところ、バンドの演奏なんてちっとも耳に入ってこない。

写真部の展示のほうも満足のいく仕上がりになって、あとは明日、明後日を待つのみとなっているものの、今のわたしの心の中を占めているのは当然、これから百井くんの口から聞くことになる答え、それのみ。


亜湖にはもう、告白した翌日に、告白まで至った経緯と今日のことは話してある。

夕方になって百井くんから『前夜祭がはじまったら教室で待っててくれ』とメッセージが届いたことを伝えると、

「……わかった」

と真剣な顔でひとつ頷き、ここに送り出してくれた。


そういうわけで、ちゃっかりお賽銭箱まで置いてあるミニ神社の脇に腰を下ろし、教室の出入り口に顔を向けながら、早く来てほしいような、来ないでほしいような、そんな両極端な気持ちを抱えながら、わたしは今、百井くんの姿が現れるのを待っているというわけだけれど……。
 
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