初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
 
そういう経緯があるわけで、心配してくれる亜湖にどう言ったらいいのかと、ここ最近のわたしは、そればかりをずっと考えあぐねている。





「じゃあ、木崎に相談すれば?」


教室で亜湖に言われたことを百井くんに話すと、開口一番、そんな返事が返ってきた。

放課後、旧校舎の美術室。

旧校舎は電気が通っていないので、明かりを確保するにはカーテンを全開にする必要があり、けれど晴天の今日は少し眩しいくらいだ。

放っておけばいつまでもカーテンを開けない無精・百井くんの代わりにカーテンを開けた矢先、彼に当然のように言われたわたしは、思わずカーテンに頭を突っ込んでしまった。


こういう、ちょっと薄情なところは、けっこう気が合いそうなふたりなのに、教室での百井くんは以前と少しも変わらないので、亜湖との接点はもちろんない。

わたしから亜湖へ一方的に百井くん情報が流出しているわけで、しかも、わたしの独断で当たり障りのなさそうな部分だけを選んで話しているから、亜湖には百井くんの全体像が依然不明なままだし、百井くんにもだいたい同じことが言える。


「それで亜湖にやめろって言われたらどうすんのよ。わたし、まだ続けたいのに」
 
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