七センチ後を歩く
 下駄箱に向かい、「流快香奈(るかいかな)」と書かれた靴箱を開け、靴を取り出す。
 外に出ると一気にジメジメとした空気に頭が眩む。
 目を開けられないくらいの太陽の光が振り注ぐ。
 ジリジリと暑い中、ただ蝉の声だけが鳴り響いている。
 
「ただいまー」
「あら、香奈お帰りなさい」
 私は靴を脱ぐと階段を上る。
「ちょっと香奈、あなたもう受験生なんだから、いい加減勉強しなさいよ。そろそろ志望校も決めて、ちゃんと進路考えないと。中卒で就職なんて勘弁してね」
「うるさいなぁ、わかってるよ」
 私はそう返事をすると部屋に向かった。
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