白黒のぬくもり
「大体車できてるのに飲みすぎなんだよ、馬鹿野郎。止めることできなかったの?」うっ…痛い言葉。

「フロアではぐれちゃって…見つけたらあんな状態だった」誠二はふぅ、とも、はぁ、ともつかない大きな吐息をはいた。

誠二君のいう通り約5分くらいで住宅街に入ってきた。駐車場つきのちょっとお洒落なマンションだった。
誠二君は尚史を抱えると肩を組むように千鳥足の尚史をエントランスに運んだ。私にエレベータを呼ぶように指示する。
数秒後エレベータが降りてきた。

私は先にエレベータの中に入って開くボタンを押しっぱなしにし、二人が入ってくると扉を閉めた。
「5階」言われるまま5階のボタンを押す。

5階につくまでがひどく長く感じられた。
チーンという無機質な音がして誠二君と尚史が先に外に出る。
そのあとを追って私もエレベータからでた。

『502』そこが誠二君の部屋らしかった。ごそごそと後ろポケットに手をつっこみ鍵を取り出す。

ガチャンと音がして部屋があいた。二人は先に部屋に入っていく。
私は一応小声で「おじゃましまーす」といって中にはいった。

なんというか…不思議な部屋だった。
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