白黒のぬくもり

足音を立てずにそーっと、そーっと階段を上る。
ドアの前に立ち鍵をゆっくり入れ回すと
ガチッ…と音がした。

今ので気付かれたかもしれない!バッとドアを開けると
「もうとっくに待ってましたけど?」そんな雰囲気でアルトが座っていた。

「あれぇ?どこで気付いたのー?」こんなにも落ち着いて座っているのだから、鍵の音で気付いて走ってきたっていう感じではなさそうだ。
階段から気付かれてたのかなぁ…
でも足音で誰だか区別なんてできるの?
気配なんだろうか。


ソファーとテーブルはそのままにしてある。
キャリーをソファーの脇に置いて、私はソファーに腰掛けた。
キャリーの横を通り、お気に入りのビーズクッションを撤去されたアルトは残念そうにひじ掛け部分にちんまりと箱座りをした。

「カニカマ買ってきたからね、食べる?」半分寝ているようだったけれど、カニカマを一掴みし、ひじ掛け部分に置くといつものようにバクバク食べる。

「これやってみよう」カッティングシールをテーブルの上に出す。
「どんなのがいい?」

……………………

考えながらカッティングシールの裏面を見るとアルファベットの型紙がついている。
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