白黒のぬくもり
「外にチャリンコあるんだよねー」忘れてた、私の大事なチャリンコなのに。

健二はうーん…と言って 「そしたら入らないかもしれないよ」それは困る!

「なんとかなんない?!」「段ボールが7つでしょ?何個か宅配便でおくったら?ソファーとコンポと布団、本棚でかなり場所とっちゃうよ」
そうかぁ、やっぱり全部はいらなかったかぁ。

しょうがないな…
「じゃあ段ボール4つ宅配便で出してくるよ、その間荷物車に運んでおいてくれる?適当でいいから。」
宅配便を取り扱っているお店は幸いにもアパートから歩いて2.3分のところで、私はできるだけ軽い段ボールを選んで2つづつ運んで実家あてに送った。

アパート下では健二が車にチャリンコを押し込んでいる。
「もうこれで全部だよ」そう言われて最終チェックに部屋へ戻る。

荷物が全部運び出された部屋にアルトだけが残っていた。

「じゃあアルトももう車乗ろうね、キャリーの中入って」キャリーの扉を開けて、アルトのお尻を押すもなかなか入ってくれない。

「早く入らないと置いてっちゃうよ?」強引に中へと押し込む。

「ニャア」なんとも切ない声。
「大丈夫。すぐ着くよ。」キャリーを持って部屋を出た。
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