隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
「本当に好きだって思ったことないの?」
「…ない」
お母さんによると、まだ私たちが幼稚園に通っていた頃はよく〝宙くん好き〟〝宙くんのお嫁さんになるのっ〟なんて言ってたらしいけど。
そんなの知らない。
少なくとも、私が物心つき始めてからは好きだなんて思ったことない。
「そっかあ」
すみれはなんだかつまんなそうに呟いた。
「じゃあ!」
次はなに!?
「碓氷くんにキュンとかドキドキしたことないの?」
ドキドキ……
ついさっき思い出した出来事が頭にかすめる。
「やっぱりあるんだっ」
あつい……
顔が火照っているのがよくわかる。
そんな私を見て、すみれが目を輝かせている。