隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。


「夢の中の話にされんのは心外だな。せっかく俺が答えてやったってのに」



花火の明かりで浮かび上がる宙の顔。



花火が散って暗くなってからでも見えるほど赤く染まった頬。



「んだよ。見んな。忘れろ」



私と逆側に顔をそらす宙。



でも、赤い耳が丸見えだ。



あの言葉は本物だったんだね。



宙のくせに、一方的に終わらせるなんて許さない。



「仕方ないから…」



「なんだよ」



「私、宙のウソ彼氏辞める」



「はぁ?……まあ、そうだよな。茉奈、ごめん」



……なんか、宙、勘違いしていらっしゃる?



今も花火が打ち上がる。



大きな心臓に響くような音で、声は微かにしか聞こえない。



「1回しか言わないから聞いててよ!」



宙に届くように大きな声で言う。



「あ?なに?」



「仕方ないから、私が宙の本当の彼女になってあげる!」



本当に、どこまでも素直じゃない私。

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