わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜



抱き締められていたという気恥ずかしさからか目を合わせることは出来なかったけれど、狛くんが私を平然と見ているのだけはなんとなくわかった。



やっぱり、意識しているのは私だけみたいだ。



なんとか意識をそらそうと、別の疑問を探す…と言うか、疑問なら嫌と言うほどたくさんある。



「狛くん、私の他に誰かと会った?
今の状況とか誰かに聞いたりした?」


「いや…………特には。
…………何て言ったっけ、あの明るい茶髪のやつ…」


「歩?」


「…………多分。
あいつがあの化け物に追いかけられてたのは知ってる」


どうやら狛くんは、追いかけられていた歩が隠れた瞬間を見ていて、そこから『あの子』が迷い始めたから『あの子』の耳が良く目が悪いことに気付いたようだ。


すごいなぁ、私はあの紙がなかったら絶対わからなかったよ。


狛くんの話を聞くに歩は無事らしいから、ひと安心だ。


朱里さんと桜ちゃんは大丈夫かな…?


「えーと、その歩を追いかけてたやつは『あの子』って言うんだけど…あとは『この子』って言う私たちの誰かに化けて『あの子』を呼ぶやつもいるの」


「………。へぇ…」


言いながら狛くんは立ち上がって、懐中電灯をつけた。


「………………って、なんで狛くん懐中電灯持ってるの?」


私は下駄箱で見付けたけど、狛くんはまず放送室にすらいかなかったからあの紙も持ってないはず。


「…………これ?音楽室に落ちてたけど」


ピアノの側に、と狛くんが付け足す。


……………音楽室には朱里さんたちが行ったはずなんだけど…。


あ、紙には音楽室としか書かれてなかったから第2はスルーしたのかな?




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