太陽に恋をして

〜side 唯月〜

モノレールからは太陽の塔がよく見える。

毎朝、出勤に使っているモノレールだけど、今日は時間が遅いせいか人が少なくて、俺は先頭車両に乗り込んだ。


『週末に、歩睦と二人でそっち行くわ』


美月からそんな電話がかかってきたのは、二日前だ。


『歩睦がどうしても唯月に会いたいって泣くのよ。あんたが黙って急に行くからこういうことになるんだからね!』


父さんと母さん以外、誰にも言わずに大阪に来たことを美月はたいそう怒っていた。
無理もない。
でも、歩睦に言えば楓佳にもばれそうだったから。


結局、ばれたけど。


あの時、ホームで楓佳を待ちながら、楓佳の口から行かないでって言葉が聞けるんじゃないか、と期待してた。


本当は、誕生日プレゼントを持って来てくれたことも嬉しかった。


だけど、そのプレゼントはよりによってGute Wareのもので、そのことが俺の心を締め付けた。


いらない、なんて言わなきゃよかった。


『ゆづなんて大阪でも南極でも、どこでも行っちゃえ!!』

最後の言葉を思い出すたびに、心がヒリヒリする。


楓佳のかわりに、毎日見ようと思っていた太陽の塔は、見れば見るほどつらくなって、最近は見ないようにしていた。


それなのに。



『歩睦があんたの部屋に飾ってる太陽の塔見て、これの本物が見たいっていうから、そこで待ち合わせね』」


人の気も知らないで…。

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