太陽に恋をして
◎イチゴミルクキャンディ
夢を見た。

夢の中で、私は唯月とスキーをしていた。
運動神経がよく、サッカーもバスケも水泳も憎らしいほどうまい唯月は、スキーも上手で、私を置いてきぼりにして、スイスイと滑っていた。
私は悔しくて、唯月を一生懸命追いかけるんだけど、雪が重くて、どうしても足が進まない、そんな夢だった。



「重い…」

目を開けると、唯月の足が私の腰あたりにまきついていた。

どうりで重いと思った…。


「ゆづ…どいて」


唯月の足をどかして、時計を見ると、もう8時だ。

唯月は私のせまいベッドで横向きに気持ちよさそうに寝ている。

酔うとすぐに眠くなって、どこでも寝ちゃうのは、唯月の悪いところのひとつだと思う。


全然、布団をかぶっていない唯月に布団をかけて、シャワーを浴びるため、部屋を出た。


どうして、スキーの夢なんか見たんだろう。

私も唯月もスキーをしたことなんてないのに。


高校2年のスキー合宿、私は二日前にインフルエンザにかかってしまった。

いつものように朝迎えにきた唯月に、ママがそのことを告げると、唯月はひどくがっかりしていたらしい。


その日の放課後、一人で寝ていると、部屋に唯月が入ってきて、私にキスをした…ような気がする。

熱にうなされていたから、本当にしたのかいまだにわからない。


だけど、その二日後に唯月もインフルエンザにかかったから、限りなく怪しい。

私と唯月は、スキー合宿にいけなかった。
暇で暇で唯月と一日中、電話で話していたけど、私は唯月にキスをしたか聞けなかった。

いまだに、本当のことはわからない。



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