太陽に恋をして
◎テキストの切れ端
百貨店勤務のいいところは、社員食堂がおいしいことだと私は思う。


昼休みの時間がそれぞれ違うから、いつ行ってもそこそこ混んでいるかわりに、日替わり定食が売り切れるということもない。


「はい、日替わりAね」


「ありがとう」


三角巾をしたおばさんからトレイを受け取ると、窓際のカウンターに座る。
そばに高い観葉植物が置かれたこの席は、外の景色がよく見えて私のお気に入りだ。


窓からは、あゆあゆが遊ぶ積み木みたいなビルがたくさん見下ろせて、その向こうにはちいさく海も見渡せる。




「ここ、いいですか?」



塩焼きそばと揚げシュウマイを食べながら、ぼんやりと飛行機雲を眺めていると、カタンと横にトレイが置かれた。


トレイには湯気の立つ醤油ラーメンが載っていた。


「あ、どうぞ」


見上げると、白のボタンダウンシャツをさらりと着た背の高い男の人が立っている。



男の人は、私の返事を聞くと軽く会釈して椅子をひき、座ってすぐにラーメンをすすり始めた。


揚げシュウマイを食べながら、うわぁと心の中で声をあげる。

あんなに熱々のラーメンを、ふうふうもせずに食べたら火傷しちゃうよ…。

私は極度の猫舌で、かなり時間を置かないと食べられない。

唯月にいつも、ラーメンが伸びるよと心配され、冷ますのを手伝ってもらうほどだ。
唯月だって猫舌だから、二人でラーメンを食べにいくと、ふうふうのし過ぎで頭がくらくらする。

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