太陽に恋をして
タクシーのテールランプが角を曲がって見えなくなると、美月が小さい声でひゃあーと呟いた。

「今の誰?モデルさん?」


美月が聞くと、楓佳は違うよ、と笑う。


「うちの百貨店のGute Wareってブランドで働いてる柳原さんっていう人」


楓佳は少し酔っていて、ふにゃふにゃと笑いながら、腰に抱きつく歩睦の頭を両手で撫でる。


「今日はねぇ、私の記念すべき初デートだったの」


初デート。
一瞬、周りの音が止んだ。

今日が楓佳の初デートだというなら、俺たちがしていたことは楓佳のなかではデートではなかったのだろう。
俺の中では、デートだったんだけどな。


楓佳は頬をピンクに染めて、俺をのぞきこむ。


「ゆづもあそこの服、好きなんだよね?今度、誕生日に買ってあげるね」


「いい」



Gute Wareの服なんか、俺は一生着ない。

「ふーかちゃん、見てー。ふーかちゃんの絵書いた」



楓佳と歩睦は手を繋いでマンションに入っていく。

そのあとをついていきながら、俺と美月は二人とも黙ったままだった。


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