●飴森くんの王子。
 
 
 
 
「キモいとか言うなチャラ男! お前は女の子の敵だ天使を堕とす悪魔だそして叩くな」
 
「誰がチャラ男だ。あとお前は叩いても大丈夫な人種だろ」
 
「どんな人種だ。取り敢えず半径一メートル以上離れろ消えろ」
 
 
 
 
シッシと手で追い払う仕草をすると、
隣を歩いていたヤツは露骨に嫌そうな顔をした。
 
 
 
 
「んだよ、俺だって好きでお前と朝っぱらから歩いてるワケねーだろ」
 
「そうですかそうですか。好きで歩いてたら全力で引くわ逃げるわ吐くわ」
 
 
 
 
前に視線を戻しながらも眉を寄せたままでいると、
隣から短い吐息が聞こえた。
 
 
 
 
「いい加減親も忘れてくれねぇかな。許婚(いいなずけ)なんてさ」
 
「むかつくけどそれについては同感」
 
 
 
 
 



あたし、飴森 勇(あめもり ゆう)と隣を歩く白石 龍(しらいし りゅう)は
幼稚園からの顔馴染みつまり幼馴染みであり、――――許婚相手でもある。
 
 

< 2 / 31 >

この作品をシェア

pagetop