君といた季節の中で
始まりの春には
春が来た。ここは何処だったのだろうか?

サラがサラが、帰ってこなかった。

その日もあくる日も今日も

サラは帰ってこなかった。

僕は、サラが死んでしまったのではないか。死んでるけど本当に死んでしまったのではないか。

僕は、子供を探していたが今度は
サラも探す事にした。

僕はサラがいなくなったら
ご飯も作れないし、お金もなかった。

僕は探すのを諦めて仕事を探した。

そして教師になる事が出来た。
そして誰も僕の事を知らなかった。

僕は昔教師だった事を話した。

訳あって辞めた話もしたし
妻と子供がいる事も話したが
記憶喪失であること。
妻と子供が今はいない事
僕は本当は死んでいる事

それらは隠して働いた。
昔やっていたからか
教師の仕事は、天職に思えた。
生徒達に学問を教えられる事が
生きがいになった。
あの家で僕は
一人暮らしをするようになって

早、7年になった。休みになると
僕は妻と子供を探していたが
月日が流れるようになって
探さなくなった。

僕は生きていた。自炊をしてしっかり生活していた。

淋しくなると浜辺まで行った。
彼女がまた僕の名前を呼んで
現れるのじゃないかと
子供の声も聞けるのじゃないかと思った。

そして辛い事があると
僕は、夜の崖までやってきて
夜風に当たりながら
ここから僕を突き落としてたサラの事を思い出して海岸の深い闇の中に
自分が落ちていく事を想像するのであった。
僕は生きてる。
どうしてなんだろう。
サラは、子供は、死んでしまったのかな。
僕が嫌になって何処かに逃げて行ったのかな。

時折とてもとても悲しくなって
泣くのだった。

僕は幸せだった。
僕には幸せだった過去がある。
忘れようとしても忘れぬ過去がある。

忘れたい気持ちを察して
僕を殺した妻がいる。

妻もその後を追って子供と共に死んだのだ。

僕にはそんな過去がある。
忘れたい過去がある。
死んだのにまた思い出そうとして
現れたサラがいた。
本当に忘れてはいけない
サラと子供がいた。

僕の胸に焼きついて離れない
過去がある。

僕を一人残して
サラは何処に行ってしまったのかな。

僕はそれからずっと一人で暮らした。

いつかサラや子供に会えるかもしれないと
いつも家を明るく温かくして待っていた。

春の朗らかな日々も花咲く美しい夏も
暑い真夏も淋しくなる秋も寒くて凍える海風が冷たい冬の日も

僕は、待ち続けた。
そしてその待つ時間は短く感じた。

いつもサラと過ごした季節が
彼女を僕の元に連れてきてくれた。

彼女との短い一年が僕の思い出にある。

僕は一生懸命生きた。


そして月日が流れていった。
僕はとうとうお年寄りになった。
仕事も辞めてあの家で一人で暮らしていた。

そして穏やかな日々が流れながら
一緒にいた日々と
一緒じゃなくても一緒にいた
長い月日を
回想しては
いつか帰ってくる彼女のために

とても長い間沢山のプレゼントを用意していた。子供の歳も聞かずに
居なくなってしまったから
勝手に歳まで考えてあの声のした日を誕生日にして毎年一人で祝っていた。
プレゼントも沢山あった。

本当にいつでも帰ってきてくれてよかった。

お年寄りになったまさるは
サラと子供を待ち続けた。待ち遠しかった。





寂しい人生に思えるだろうが
まさるは、人生を生きた。
教師として生きた。そして人格者になった。
ただ皆んなに嘘をつき通した。
妻がいて子供がいて
幸せに暮らしてると

嘘をつき続けるために
誰一人として家を教えず
誰もこないようにした。

彼は、記憶喪失。彼の嘘は
人生になっていた。

彼には妻サラがいて子供まさおがいて
幸せにあの家で暮らしていた。

ある春の日
家にお客さんが2人で訪ねてきた。

まさるは、やっと帰ってきたと思った。
そこには
歳をとった女性と、立派な男性がたっていた。

「ただいま」
「おかえり、サラ、まさお」

2人を出迎えてプレゼントを渡したり
色んな話をした。人生で出会った色んな人の話をした。時に笑い時に泣いて、そしてやっとまさるは、サラとまさおの目をしっかり見て頷いた。サラとまさおが座っているまさるの手を取ってしっかりと握った。そして立ち上がった。三人は微笑み合いながら

あの白い白いトンネルを
歩いた光の方へ

そしてその家から誰も居なくなった。
それからその老人が何処に行ったのかは
誰も分からなかった。ある春の日の事であった。

終わり
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