好きになった相手には大体相手がいるんです
助手席側のウインドウが下りるとそこには昨夜とは打って変わって

さわやかでイケメンな悠木君がとびっきりの笑顔を覗かせた。


あ~~どうしよう。この笑顔は反則よ!

っていうか悠木君の全てが反則!

「お待たせ。どうぞ、詩真ちゃん乗って」

そういって指さした場所は隣・・・そう助手席!

本来ならばこの場所は希の席だ。

だけど今日は・・・今日だけは私の特等席。

それだけでもう心臓はドキドキを超えバクバクだ。

ドアを開けてお邪魔しますとよくわかんない言葉を発しながら助手席に座った。


あ~~だめ。めっちゃ緊張してきた。

この狭い空間に大好き悠木君と2人きり

朝、一緒にコーヒーを飲んだ時よりも緊張しているよ。

するといきなり悠木君がぐっと身体を寄せてきた。

ええええ!何?何かされちゃう?心臓が爆発しそうになった。

だが悠木君の顔は私でないものを見ていた。

そして延した先には


シートベルト・・・

「あっ!ごめんなさい。わたしったらすっかり忘れてて・・・」

悠木君はいいよと笑って装着までしてくれた。

希にもこんな事してんのかな・・・


希公認とはいえ所々に希の影が映る・・・・

公認・・・私と希の2人だけで決めたようなもの

悠木君は何も知らない。

普通じゃこんな事あり得ない事だ。


うれしいのとほんの少しの後ろめたさを抱えながら私はシートにもたれかかった。

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