好きになった相手には大体相手がいるんです
「詩真ちゃん?」

「あ・・・は・・はい!おかわりですか?」

悠木君は首を横に振った。

「なんで暗い顔してるのかなって・・・俺と一緒じゃつまらない?」

首を傾ける悠木君の顔も少し寂しげだった。

「ち・・違います。凄く・・凄く楽しいですよ」

「本当に?」

「でもそうは見えないよ」

そんな顔で見ないでよ。

本当の事言いたくなっちゃうじゃない!

だけど悠木君は私を見つめながら本当の理由を待っている。


「…だってこうやって誰かと一緒にご飯なんてほとんどないんですよ。
 楽しいって思う反面、もうないかと思うと・・・ちょっと寂しいかなって・・・」

本当は悠木君とって言いたかったけどそれ言っちゃったらどんな顔をされるか

怖くて言えず『誰か』になった。

こんなことなら本当の事なんか言わず適当な事を言っておけばよかった。

箸を持ったままうつむいてしまったのだが

「また食べたいって言ったら作ってくれる?」

思ってもいない言葉に顔を勢いよく上げた。
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