好きになった相手には大体相手がいるんです
悠木君が帰った後、入浴を済ませ冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを

取り出し息が続く限り一気に飲んだ。

「・・っはーっ・・・うまい」

さっきまでの緊張もほぐれ、いつもの私に戻った様だった。

ふとスマホをみるとLINEに未読のメッセージが5件あった。

誰だ?・・・そう思って開くと

すべて希からだった。

「あっ!そうか希もだった・・・・」

希も同じ頃戸田君に猛アタックしてたんだ。

慌てて開くとそこには短い分が次から次へと送られてきた。

その内容は・・・

『戸田君とのデートから帰ってきた。』
『私の恋は前途多難だ』
『詩真はうまく行った?』
『戸田君はしまが来なかった事凄く悔しがってた。』
『詩真・・詩真ってしつこかった』

スタンプを間に挟みつつ希のトークは止まりそうにない。

でも読めば既読と出るから返事をしなきゃいけないのだが

どのタイミングでどの言葉に対して返事すりゃいいのかわからないくらい

希の高速トークが短文で送られてくる。


私も前途多難だよ。

やっとスタートに立ったような気分。


でも・・・何だか悠木君との事を詳しく書く気になれなかった。

今日のちょっと意地悪な言い方や、面白がってげらげらわらったり・・・普段見せる表情と

明らかに違う悠木君の事を教えたくなかった。

もしかしたら今日みたいなSっぽい悠木君を希は知っているのかもしれない。


でもその事を希に言って気持ちを共有したいとは思わなかった。

希の彼じゃなくなった途端、独占欲が増していく。

もっと私にだけでいいから悠木君のいろんなところを見せてほしい。

だから、希には『少しだけこっちを見てくれるようになったかも』とだけ伝えた。
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