好きになった相手には大体相手がいるんです
「悪いけど俺達失礼していい?」

悠木君だった。

「あっ・・」

まるで私たちの存在を思いだしたかのように希がこっちをみた。


「お互い2人きりで話したいでしょ?

希に向けての言葉だったが

「え?・・でも・・・」

戸田君は私を見ながら何か言いたげな顔をしていた。

だけど悠木君はそれを許さないとばかりに私の手をさっきよりも強く握った。

「・・・ごめんなさい・・希とゆっくり話をしてちょうだい」

「でも・・俺は」

戸田君はまだ何か言いたいようだったけど

悠木君が戸田君を睨むもんだからそれ以上何も言えない様だった。

悠木君の手が離れ、私はバッグを持つと席を立った。

希は目でありがとうと・・・、戸田君は落ち着かない様子で溜息を洩らす。

私は・・・複雑な気持ちで希と戸田君に会釈をし

悠木君の表情は・・・・店を出るまでわからなかった。


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