オートマトン -Online- 推敲中
 約束どおり、結衣は3限終わりに4人でお好み焼きを食べに行った。

 わいわい何時間もしゃべりまくってみんなに疲労の色が出てくると、春奈の気の利いた「そろそろ帰ろうか」という言葉でやっと解散になった。

 電車で帰る3人と別れ、結衣は1人で、夜の道路を走るバスに揺られていた。

 がらんとして、冷房の良く利いたバスの中は白い蛍光灯の明かりで照らされている。

 黒い窓の外へ目をやれば、夏の湿度のある重たい空気で満ちているのが見えた。

 服についたもんじゃやお好み焼きの独特の油の匂いを嗅ぎながら、にぎやかな美香たちとの会話や、久しぶりに会った祥平の顔を反芻しながら結衣がまどろんでいると、突然携帯が鳴り出した。

 あまりの音量の大きさに目が覚める。

(キャスケットさんだ)

 メールの送り主を見て、結衣の心臓が高鳴る。

(私変なのかな?なんでこんなにわくわくするんだろう?)

 結衣の脳裏に、白いラインの入った紫のローブを着たキャスケットが現れた。


 From キャスケット
 Sub やっほー^^

『ユイ、今日の夜あいてる?
 少しだけでも会えないかな?
 コロナタを倒した日に会った狩人さん、覚えてるかしら?
 彼、今夜ログインするらしいから3人で何かしない?』


(狩人って確か、アレキサンダーさんだっけ。コロナタ倒した時に一緒にいた、攻撃魔道士のあの女の人は来ないんだ)

 結衣が返信ボタンを押したとたん、再びメールが届いた。返信する前に新しく受信したメールを開く。

(美香だ)

 添付されていた写真の中で、春奈と美香と洋子が駅のホームを背景に楽しそうに笑っている。


 From 山崎美香
 Sub 今日は

『楽しかったよ、ありがとう。
 昼休みにきついこと言っちゃってごめんね。結衣は優しくていい子だって分かってるのに、友達を大切にしないとだめとか就職活動したらとか…。結衣のこと信じてるから、結衣のタイミングでがんばったらいいよ。
 また一週間後に会おうね。帰り道気をつけて☆』
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