オートマトン -Online- 推敲中

ミッションと廃人

　市場が開店した漁村には賑やかな音楽が流れ、大陸から流れてきた華やかな服装の冒険者たちが花を添えていた。

　店を構えて商品を売る商人に混じって、一般のプレイヤーがアイテムを売り買いする声もたくさん聞こえてくる。

「どなたか、猫耳ヘアバンドを１５０万Goldで売ってもらえませんか？」

「ステーキ(攻撃力アップ・効果時間１５分)３００Goldに値下げ中。桟橋で売ってます」

「大きな声で失礼します。お時間ある攻撃魔道士様、５００Goldでトルーワ火山までワープお願いできませんかー？」

　アレキサンダーと楽しい思い出作りを約束した日、彼が入れない日には独りで『オートマトン -Online-』のシナリオを進めようとユイは決心していた。

　太陽神界でユイとして存在し始めてから、ユイは世界の住人の間では冒険者として位置づけられている。

　この世界で確固たる地位を築くには、太陽神界の中枢であるシャテラリア国の国王に認められる必要がある。

　それには各冒険者に共通で与えられるミッションをこなしていかなければならない。

「ミッションをくれる人はどこかな」

　ユイはゆっくりと市場の中を歩きながら、重要そうなゲームのキャラクターを探していく。

　するとすぐに、それらしき人物がみつかった。

　桟橋の近く。漁師たちに混じって甲冑を身につけたシャテラリア国の兵士が１人、困り果てたような動作を繰り返している。

「絶対あの人だ(笑)」