アイスクリーム男子の作り方【アイスクリームの美味しい食し方番外編】
やっぱり、次の日、姉が戻り、
散々、店長を困らせていた。

姉はパリコレでショーモデルとして
活躍していたので、
もう周りが必死で止めまくっていたのだが、
生半可にお金があるのが
いけなかったのか、
あらゆる手段で、店長を追いかけ回していた。

「姉さん、
相手の幸せを願うのが、
恋愛じゃないの?」

きっと、店長が留守中に、
家に忍び込んだところ、
店長が帰ってきてしまい、
慌ててお風呂場の浴槽に
隠れたところ、
昨日の残り湯を
うっかり店長のことだから、
流していなくて、
びっしゃびっしゃに濡れてしまい、
また最悪にも店長に見つかり、
店長に服とタオルを借りて
帰ってきたのだろう、という
一目で、何があったか分かる格好で
姉が帰ってきたので、
思わずそう言ってしまったのだ。


「宗次郎さん、
迷惑だって言ってた?」

ぼたぼたと雫を落としながら、
姉は家にあがろうとした。


「トロワのみんなと、
姉さんのマネージャーが
泣きながら、ここへは出禁にしてくれって言われました。

店長は言わないですよ。
俺のことさえ、迷惑かけろ、かけろ、っていう人ですよ?」

俺は正直に答えた。


「そう。」

姉は短く答えて、
脱いだ靴を履き直した。

「どこに行くの?」


「お金ならいっぱいあるから、
ホテルにでも泊まるわ。

もう帰ってこない。
部屋も好きに使いな。」

姉はそう言って、
本当に、実家に出禁という
凄まじい状況に足を踏み入れた。

訴えられないだけでも
感謝だ。
これで店長も安心できると
その時は思っていた。
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