アイスクリーム男子の作り方【アイスクリームの美味しい食し方番外編】
「そんなこと悩んでたんですか?」
店長は、おかしそうに笑いながら、
新作の仕込みをたんたんとしていた。

アーモンドクリーム
って不思議だよな。

なんでアーモンドを粉に…

俺はからかわれてるの気づかず、
店長の手元に集中した。


「チカちゃんと出会ってから、
新はお菓子作りに熱心ですね。」

店長は嬉しそうに、
プラリネづくりにかかった。

「アーモンドの油分がおいしくなるなら、ココナッツオイルとかでも
面白いんですかね。
あ、でもアーモンドプードルの
食感も美味しさの…」

俺はメモを取り出して、
それを綴った。

「はは。いいよ。
全部やってみましょう。

そういえば、オーナーのご実家から
ずんだ用の枝豆が送られてきたでしょう。
あれでも試してみよう。」

店長は手際良く作業を進めていった。

「実験みたいにいつもいいますね。」

俺は店長に聞いた。

「お菓子作りは科学だからね。
実験をたくさんすればするほど、
新しい味に出会えるはずです。」

店長はやっぱり
すげー人だ。

洋菓子和菓子に関わらず、
見聞は広いし、
その技術は天下一品、
そして、柔軟な発想。

俺は、
本格的に、
店長の元で勉強するようになり、
ますます店長を師としても
親としても尊敬していた。

まずは、
自分が一人前の
パティシエになること。

それがチカを幸せにすることだと
思い、
お菓子作り、勉強、運動と
まさに修行のように邁進していった。



「大丈夫。
チカちゃんは、
赤い頭だった君を忘れてしまうかもしれないけれど、
きっと何度出会っても
新のことを好きになりますよ。

忘れたら、もう一度、
初めからやり直せばいい。」


「へ?」


「君はきっといい男になります。
だから、その日まで、
頑張りなさい。

君には可能性がある。
私とは違ってね。」

その日、
姉が2回目の離婚をしたという
報告があった。


店長がどんな気持ちで、
その台詞を言ったのか、
今なら少し分かるんだ。

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