ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
昼間一人で木更津にある映画館に行く。
暇潰しに。
かなりボロい映画館だ。
中学3年の頃、弥生を連れてここで《ロッキー》を見た。
見終わって映画館を出た時は、今なら誰かが喧嘩を売ってきても、絶対に勝てる!
殴られても、殴られても最後には勝つ!
それ程感動したのかもしれない…


時間より少し早めに待ち合わせ場所には着いていた。

携帯がなる…

『ぶん太君かい…外に出て来てくれっかい?』

ネタ屋は待ち合わせの場所から外に出るように言う。
珈琲代を払い、外に出ると、前の道路に一台の単車が…
ぼくに封筒を渡す。
中を確かめる程でも無かった。
この適当な膨らみ…
ぼくも封筒を渡した。和人さんから預かった30万だ。


渡された封筒を持って自分の車に向かう。
車のドアを開けようとしたその時!

『高島!』

ぼくの名前を叫びながら前後から3人づつ…
背広の人達が走ってきた。

ぼくはとっさにシャツを捲り上げ、お腹に封筒を隠した。

ぼくの左肩を掴んだおっさんがいて、振り替える。

あの時の刑事だ…


ぼくは小学3年の時の夏休みを思い出したのだ…
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