ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
無理矢理に土下座させられた上、1人の男子がツバを吐いた。

無意識だった。
ぼくはトイレからデッキブラシをズルズルと引きずりながら持ってくる。
『おい、ぶん太…やめとけよ…』

誰かの声が聞こえたような気がした。

ぼくは幸子にツバを吐いた男子の後頭部にデッキブラシを降り下ろす。

当たり所が悪かったのか頭から血が流れていた。

周りの生徒達は一瞬沈黙の後、騒ぎだした。
先生に連れていかれた。
殴られた6年生はタオルで頭を押さえ、先生が病院へ…

7針縫ったらしい。

何故こんな事になったのか?
先生に追求される。

ぼくはひたすら黙ったままだ。

職員室の一番向こう。幸子も取り調べを受けている、が、泣いているだけだ。

悪い事をしたとは思わない。

継母が学校に呼ばれてひたすら謝っている。ぼくはそんな継母をみて、なにあやまってんだよ…と思っていた。
帰り道、煙草を吸いながら、継母は言う。
『勘弁してよね!パチンコに行こうとしてた時だったのに!』

ぼくはパチンコ屋の前で下ろされた。
『こっから歩いて帰んな』

別に怒られる訳でもない…


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