ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
マスターも不思議な人だ。


自分では話さないし和人さんも龍平さんもしゃべらない。



しかし、マスターは最初からタメ口だし、時には上から目線なしゃべりようだ。


そんな中、龍平さんは相当キテる。


流石の弥生も扱いきれなくなってきている。



段々本気で嫌がってきてるのが、ぼくには解った。



スカートの中にまで手を突っ込みはじめ、ほっぺをベロベロ舐め回したりしている。



『りゅ~へ~さ~ん!一緒にな~んか歌いますか?』



ぼくはろれつの回らない口調で割って入る。



しかし、みんな聞こえていないようだった。



更に、『龍平さんいい加減にして!』



キスを迫っていて正に唇は重なっていく寸前だった。



『いいじゃねぇーかよー弥生!んじゃ口移しでワイン飲ませろ!』



次の瞬間だ…




ぼくは持っているグラスを龍平さんめがけて投げた。




丁度、顔面に当たった!



龍平さんは立ち上がった。



ぼくも立ち上がり、『あんまりハシャぎすぎっすよ…』



『…』



『…俺の女ですから…』




弥生が泣き始めた。


空気は一気に悪くなった…
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